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フィルターあれこれ

濾過と分離
 流体(水や化学溶液等、空気やガス等の気体)の中に含まれている、微量の粒子などを取り除くフィルター技術は、分子レベルまで到達しています。また、流体や粒子の性質によっては、真空や高圧で行う場合もあります。
 一般的にフィルターは、不要な物を取り除く「濾過」で認識されていますが、単に不要な物をとりのぞくだけでなく、有用なものに分ける作業でも使われます。また、廃液や汚水のように、そのままでは処理できないものを、処理できるレベルに分ける場合にも利用されます。ですからフィルターの役割は、「濾過」よりも「分離」とした方が、活躍の場を正確に表しています。

フィルターの種類
フィルターといっても現在では幅が広く機能が向上しています。以下に、大きな用途により分類し解説しました。フィルターは、用途・目的に合わせて使い分ける必要があります。不明な点は何なりとご質問ください。

 粗濾過(1μm〜数ミリ程度のゴミの濾過が中心になります)

粗濾過のフィルターの中心は、繊維をワインドしてフィルター化した物や不織布を用いたフィルター、粒子を焼結した焼結フィルターやプラスッチクスを発砲させ比較的緻密な孔径を持ったフィルター、また、金属メッシュを数層重ね合わせたフィルター等があります。もっとも幅広く使用されているフィルターは、繊維をワインドしたフィルターと不織布を利用したフィルターです。販売数量も多く価格ももっともリーズナブルです。これら多様のフィルターの選択は、主に除去する対象の大きさ柔らかさによります。不織布フィルターと焼結フィルターについて紹介します。

不織布フィルター
微細な繊維要素を糸状にするのではなく、バインダーや熱を用いて、繊維要素を撚らずに接着させたも    のです。
一般に粗濾過(10-200μm程度の孔径)に使用されることが多く、繊維要素のパッキング状況を変えることにより濾過精度を変えられます。繊維要素の物性を利用して水分の吸着や油分の吸着に使用している物もあります。

主な用途
・粗濾過―大きな粒子の除去および精密濾過のプレフィルター
・水分や油分の吸着

焼結フィルター
焼結フィルターは、金属、セラミック、プラスッチク等の粉末を熱および圧力により粉末同士を直接接着した物です。
粒子の大きさにより孔径制御ができ、孔径として数ミリの大きさから0.001μm(1mmは1000μm)まで非常に幅の広い物ができます。各種の材料から作ることができるため濾過に使用するほか、保水材や散気管等にも使用され始めています。

主な用途
・半導体製造に使用するガス中の微粒子除去
・水道中からの微粒子の除去
・液体中へ気体の散気等

2 機能濾過(無孔径―5μm程度)

この分野で用いられる濾材は膜が中心です。粗濾過でのゴミの除去から細菌やウイルスや気体液体分離に、分離ターゲットを効果的に分類します。形状としては平膜と中空糸膜があります。一般的に小型コンパクトのニーズの場合には中空糸膜を用い、大がかりのフィルターや薄く作る場合および比較的安価に作る場合には平膜を使用します。
中空糸膜について紹介します。

中空糸膜フィルター
中空糸膜とはストロー状の形状をして側面に孔が開いた物が中心で、近年では無孔の物もあり気体分離に使用されています。主な材質はプラスチックです。製造方法は延伸法やミクロ相分離法等が用いられ、孔径も数ミリから無孔の物まで幅広くあります。大きな特徴は、他の濾過材と比べ単一容積中に多量の濾材を入れることができ、小型のフィルターができます。他の濾材の3ー5倍の濾材を入れることができます。

主な用途
・細菌の濾過(浄水器に使用されています)や微粒子の除去
・ウイルスの除去
・タンパク質の濾過

3 吸着濾過(溶解物を吸着現象により分離する方式です)

吸着濾過は、気体中や液体中に溶解している物質を吸着により取り除く方法です。主な吸着材は活性炭、ゼオライト系、シリカゲル 、酸化金属があります。水中に溶解している臭い物質や農薬・塩素等を取り除きます。
活性炭について紹介します。

活性炭フィルター
活性炭は、植物質などを炭化させる過程で多孔質構造に生成した物です。
形状には、粉末・粒状・繊維状等があり、吸着速度・吸着量・吸着物質に差があります。用途に合わせて適正な活性炭を選別することが必要です。
近年では、孔径分布がきわめて均一な活性炭も作られ、酸素窒素の分離にも使用されています。

主な用途
・空気中の臭気成分の吸着
・水中の有機物の除去や脱色
・溶剤の吸着による回収